2025.07.29
心書
心書Vol.316【海】

「海のような心で」
果てしなく広がるその景色、波の音、深く静かな青。
海は私たちに多くのことを教えてくれる、まさに「自然の教科書」とも言える存在です。
仏教の教えにも、しばしば海がたとえとして用いられます。
たとえば『無量寿経』には、「仏の智慧は大海のごとし」と説かれます。
深く、広く、測ることのできない智慧。それが仏の心です。
私たちの心もまた、海のようであります。
風が吹けば波立ち、嵐がくれば荒れ狂います。
けれども、海の底の方はいつも静かで、揺れることがありません。
怒りや悲しみ、不安や欲望に心が波立つことは、誰しもあります。
でも、そうした感情にとらわれすぎず、少しずつでも「海の底のような静けさ」に気づいていくことが大切です。
それが「仏道を歩む」ということでもあります。
そしてもう一つ、海の教えは「受け入れること」。
海は川の水も、雨も、時に汚れまでも受け入れます。
それでもなお、その存在を変えることはありません。
人の言葉や行動に一喜一憂するのではなく、それらを受け入れながら、自分の軸を保つ心。
それこそが、仏が私たちに願う「広く深い心」です。
海のように静かで深い心を持ち、波が立っても、その奥にある静けさを忘れずに歩んでいきたいものです。
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